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竿屋の独白

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2018年 10月 23日

これ楽しい!

あまり気乗りがしなかったんだけど、偶然 " 節切れ " を見つけちゃったもんだから作り直した 10ft.#6 。
ガイドを仮止めして位置を決め、適合ラインも検討をつけて本組みをした。バーニッシュをかけてる間、硬化待ちの時間が手持ち無沙汰だったけど、リールシートの金具が届いていたのでスペーサーを削る事にした。塗装が終わった頃、バラバラに頼んでいたフェルールや合成コルクがまとめて届き、「あれま、ナンか作らなくちゃ」と頭の隅で貧乏神の声。
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ま、ま、今じゃなくても・・・もうすぐ 10ft. のバーニッシュがかけ終わるからさ、と声をいなして河原へ。

改めて試投してみると、ん? あれ? なんか随分調子いい? 短めで少し取り回しが良くなったから? 11ft. もかなりデキが良かったと思うけどそれ以上? 使えるラインの重さは仮止めで設定したのと変わらないけど、振った感じが少しだけ違う。
これ楽しい!_d0287978_13404309.jpg
300~400gr. のスカンジヘッドを試してみたけど、どれも同じような感じ・・・?? 工房に戻って確認すると 300gr. 代のやつはみんな 31ft.(9.5m)。重さより長さか?

日を改めてもう一度やり直してみた。メインに使ったラインは 360gr. 。
これ楽しい!_d0287978_13012501.jpg
左から 11ft.#6/7 12ft.#7/8 10ft.#5/6 13ft.#8/9 。期せずしてそれぞれの長さで一押しのヤツばかり。
無理なくそこそこの距離が出ちゃうので、ほかのと比べてたらこうなった。ジャンピングロールでもアンダーハンドでもスペイでも飛んじゃう。突然キャスティングテクニックが上がった? まさかね・・・・。
これ、楽しい  
調子に乗って投げまくってたら背中で声がしたので振り向くと、知り合いのトーナメンターが。早速竿を渡すと、いやあ・・・さすがのキャスト! 手加減しないからね、このヒト。ちゃんと観察させてもらいました、竿のカーブ。自分で振ると見えないからね。グリップの形がトーションかけにくいとか言ってたけど、そもそも竹竿はトーションかけにくいんだからこれでイイのダ。10ft. でこれだけ飛ばせれば釣りに使えるって・・・これ釣り竿だよ。

ISAKU シリーズが 1 本増えた?




# by kurirod | 2018-10-23 17:29 | 竿
2018年 10月 12日

10ft. #6 エクステンションバット

相変わらず2ハンドロッドが面白くていじくり回している。

出発はシングルハンドの 8ft. くらいだったと思う。それがだんだん長くなって、スペイキャストの流行もあったりして「竹だってできるよ、スペイロッド」なんて手を出したのが運の尽き。
あんなガサツな竿、なんて軽く見たのが大マチガイ。それに「自分で作った竿、ちゃんと振れなくてどーすんの!」なんていう声もあり・・・・ドツボにはまったのが、何年前だ?
あーだこーだと試作するうちに竿は 14ft. まで伸び、キャスティングも少しずつ理解できるようになって竿作りとリンクするようになってきた(と思う)。シングルハンドの竿まで影響が出たらしく、今年、久しぶりに遊びに来たショップの店主には「みんなスペイロッドになっちゃいましたね」と言われる始末。
そうこうしているうちにスペイフィーバーは落ち着き、マイクロスカジットなんていうイージーなシステムが登場してキャストの距離が飛躍的に伸び、ラインのティップを交換するだけで探れるタナの範囲が広くなった。おかげでフライフィッシングの敷居が少し低くなったんじゃないか、という印象が・・・。もろ手を挙げて賛成はしないけど、悪い傾向じゃないんじゃない?

で、ここまでが今回のハナシの枕。

一応今まで作り散らかしてきた色んな長さの竿を振り返って整理をしてみると、ま、竹だし・・・重いし・・・そんな長くなくても・・・実釣に差し支えなく楽しく使えればイイんじゃね? なんて、少し肩の力が抜けて気持が楽になったような気が・・・・・。
そんなこんなで作る竿がどんどん長くなってきた頃のやつを引っ張り出して見直してみた。
最初に手を付けたのは 9ft. で長目のファイティングバットを付けたやつ。低番手のヘッドで " スイッチロッド " として使えそう。前に書いたと思うけど、これ。2バット!
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ガイド位置を調整し直して何とかまとめてはみたものの・・・ナンか物足りない。
で、次に目を付けたのがこれ。
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10ft. の2ハンドロッド。グラファイトだとスイッチロッドはほとんど 11ft. だけど、竹だと片手で振れるのは 9ft. まで(個人差あり)。両手で振れば、この長さでもラインシステムの工夫でそこそこの距離は出せる、とふんだ。ちょっとズルしてねじ込み式のエクステンションバット。4in. 長くなる。
左がオリジナルで、オーバーヘッドキャスト用のテーパーなのでガイド位置を調整してヘッドを使うとトップセクションに少しクセが付きやすい。ちょっと前に霧雨の中で使ったらバット側のフェルールの少し下に節切れを発見したのでテーパーも少し変えて作り直した。
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バットなんてかなり細くなったのにライン番手は変わらず #6(スタンダードラインだと #7 くらい)。
ストリッピングガイドの位置を少し修正して、スカンジヘッドだと 360 か 390gr. が使いやすい。コマンドヘッドでも 300gr. のボディーに 10ft. 90gr. のモウティップが良かったから #6 。スカンジでも 400gr. になると若干ラインが上がりにくくなるから不思議。散々投げ倒してから、ふとSAのデリバランスキットがあったのを思い出して入れてみた。記憶では420gr.くらいだからちょっと重いかなぁと思いつつ。ところが、あれっ?感覚ではスカンジの 400gr. よりかなり重いのに竿が負けてない!
はぁ??? 
工房に戻って確認したら 440gr. だった。
はぁ???
10ft. #6 エクステンションバット_d0287978_19354047.jpg
左に少し顔を出してる岩くらいまでが実釣でよく投げる距離(目測で 20m くらい?)なんだけど無理なく届くから、充分使える。できるだけ軽い竹竿で本流を楽しみたい 102.png



# by kurirod | 2018-10-12 21:56 | 竿
2018年 09月 27日

スイッチロッド

もう何年前になるだろう? 初めてYouTubeでエド・ワードのコマンドヘッドのデモを見たのは。

9ft.#5 のシングルハンドを 2 ハンドに仕立て直して使っていたような記憶がある。時期的には " スペイフィーバー " がひと段落して、管釣りや湖でヒンシュクを買っているという話が聞こえてくるようになった頃だと思う。
見よう見まねで 15ft. や 18ft. の長竿に、太いスペイラインをバシャバシャ振り回すんだから(おまけに腰まで立ち込んで)、白い目で見られてもしょうがない状況だったのかも知れない。でも、カッコ良よかったのよね、あの姿が。それに、キャスティング自体は面白いし、きれいなループが作れた時は素直にウレシイし・・・・。
冷静に考えれば、ターゲットの魚種も川の環境も日本とはまるで違う土地の釣り方をそのまま持ち込んだって・・・どうなの? というところなんだけどね(あくまでも個人の意見です、念のため)。

そんな状況の中で、エド・ワードのスカジットキャストは軽く衝撃的だった。そもそもスチールヘッダーと呼ばれるフリーク達が考え出した釣り方とシステムだけど、も少しライトにこじんまり(?)アレンジすれば日本の本流の鱒釣りでも通用するんじゃないかと思った。
この時はまだスカンジヘッドでのスペイキャストに入れ込んでいたのと、ヘッドにモノフィラのランニングラインというあまりにも合理的な組み合わせが、竹竿にはちょっとねという気持ちもあって本気で手を出す気にはならなかった。

これは多分その頃作った9ft.#5/6 と 10ft.#6 の 3P 。DTFラインでオーバーヘッドキャスト用。エクステンションバット
を装着して使うようにしてある。
             
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そうこうしているうちに、マイクロスカジットと称して8ft.#3 くらいのロッドに合わせたヘッドが出て来たりして、「ああ、やっぱりな・・・」。実はそれまでヘッドを後ろ前にしてたらしい事にも気づかされて、にわかにコマンドヘッドが気になりだした。

で、ず~~っとお蔵入りしてたのを、やはりず~~っとお蔵入りしてたコマンドヘッドと一緒に引っ張り出してみた。( 9ft. はなんと 2 バット!)。トップセクションはヘッドの重さを背負いきれるように作り直してある。
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2ハンドロッドのコンセプトをシングルハンドのテーパーにフィードバックして起こし直した 8ft.6in. や 7ft.9in. にも入れてみた。具合がイイ! ロールキャストで必要充分な距離が出ちゃう。
ならば、
と 11ft.や 12ft. のスペイロッドにも・・・。遅ればせながら " スイッチロッド " 誕生 128.png
グラファイトだと 11ft. でも片手で振れちゃうけど竹のは無理。せいぜい 9ft. まで。そういう意味ではスイッチじゃないけどね。

こんな出来事があってから、改めてOPSTの動画を探してみたら・・・・随分数が増えてる。ショップが紹介してるのも含めるとかなりの数。中に、ゴルフボールを使ったエド・ワードのレクチャーがあった。日本語の訳付きまである。
が、ラインをどういうふうに動かして前に飛ばすか、という基本的な事はスペイキャストと同じで「横円を縦円につなげて方向転換させる」というところ。なんか太極拳みたいだなぁ・・・・。







# by kurirod | 2018-09-27 14:14 | 竿
2018年 09月 03日

ISAKU

平成最後の夏が終わった。
今年の夏は温度計が壊れたんじゃないかと思うくらい暑かった(も少し続くらしいが)。

工房の2階(事務や巻きの作業をする)は 26℃ の設定で朝からエアコンを入れてるのに、昼を過ぎても 30℃ 以下にはならない日が続き、ヒトも塗料もダウン。シャフトの塗料やバーニッシュが水みたいにシャブシャブになり、いくら平らに塗っても硬化する前に角がみんな弾けてしまう。おまけに表面張力が働いて平らな部分に塗料が集まって丸くなる。とても仕事にならない。

が、ありがたい事にいくつかオーダーをいただいていたので何とかしなくては・・・という訳で、少しでも気温が下がった時をねらって大汗かきかき一件は何とかやっつけた。これ。11ft. #6/7 2P 2TOP。
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さて、お次。バットセクションの丸ごと作り直し。ここまでいっちゃうともう " 補修 " は無理!
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これまでにも修理や新規製作の件はいくつかあったけど、どれも容易に破損の原因が想像できた。が、今回のはどう考えても想像できる原因がイレギュラーなので、仕上がった時点で状況を詳しくお聞きしてみようと思う。

それにしても暑さが尋常じゃ無い・・・・。

ついでにこんなヤツも出てきて仕切り直し。
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バットセクションの 6 本目に出てきた虫食い。
なんとか外して・・・と削ったけどアウト。仕方がないのでこいつは予定してなかった 11ft. #6/7 2P のデモ用に回すことにした。で、フェルールを注文。が、ツイてない時はツイてない事が重なるもので、フェルールの仕入先の " 10日間の夏休み " に 2 回ぶち当たり、仕事は思うように進まず、えいクソッとこんなことで気分転換。(これを巻いてる時はエアコンの前に居られるノダ 102.png )。
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ま、これはこれで楽しめたけど、夜中に小人が出てくる訳もなく、竿の方は一向に進まず。とりあえずシャフトだけは仕上げておいてフェルール待ち。少しでも室温が下がる時間を見計らって新規製作分も。ついでに具合が良かった 7ft.9in.#5 2P のデモロッドも削った。ナンか知らないがスイッチが入ったみたいで、暑さも苦にならずポタポタ汗の滴を落としながら・・・どしたオレ?  でもやっぱり遊んでしまった。
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メス型回転センター。ボトムハンドルを削っている時「こんなのがあったら便利かも」と思ってしまい、思っちゃったもんだからすぐに製作。状況によってはそれなりに便利。それでもフェルールが届くまで時間があったので、グリップのコルク削りを済ませる。力は要らないけど噴き出た汗に削った粉がくっついて、手の甲から肘までがコルクまみれ! 何度も水で流し落としながらの作業になった。とりあえずできそうなこ事を全部やってしまって、見れば組み立てキットみたいになってて苦笑い。
そうこうしているうちにフェルールが届いたので打ち込み、まとめて塗装。先に 2TOP の巻きを済ませてからゆっくりデモロッドのガイドの位置出し。
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作業の都合上先に 7ft.9in. の方が仕上がったが、ガイド位置の取り直しには少し手こずった。しかしイメージ通りのアクションに仕上がって、コマンドヘッドの 175gr. と 200gr. のヘッドがドンピシャ! 実釣でキャストするくらいの距離は、タイミングさえ合えば飛ばそうとしなくても勝手に出ていく。もちろん力は要らない。へぇ~~、これがマイクロスカジットね!納得。
11ft. の方はスカンジの 390gr. がベスト。こっちは予想以上の仕上がりで、これならISAKUというネーミングで残しても恥ずかしくないかも・・・なんて密かに思う。やっとバットのテーパーと構造が確定した気がする。

あ、どのラインをキャストする時も、トップガイドが自分を中心にして円を描くように動かすのがミソ!






# by kurirod | 2018-09-03 14:40 | 竿
2018年 07月 18日

やっと・・・

オーダーいただいてた竿を製作中、はからずもコンポーネントの到着に時間がかかってしまう事が判明し、工程を中断するハメになった。少なくとも 2 週間は手がつけられなくなってしまったので、その間に下ごしらえのストックでもと思い、始めたのだが・・・。
外的な理由で段取りを変更しなくちゃいけないのって、なんか面白くない。面白くないので気が入らない。気が入らないからなかなか進まない。進まないけど始めちゃったものは何とか片付けないと・・・。
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ひたすらガマンでやっと片付けた(やれやれ)。終了間際にコンポーネントも到着。
まずはフェルールを打ってガイド位置の確認。
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色んな事情があってこの工程は飛ばす訳にはいかない。

で、やっとバーニッシュをかけるところまで来たら、今度は連日の猛暑でエポキシがしゃぶしゃぶに・・・。
水のようになったエポキシは、いくら平らに塗っても表面張力が強く働いて硬化するまでに真ん中に寄ってしまう。真ん中に集まった分、周辺は薄くなって地が露出しやすくなる。これは夏以外の季節でも、塗料を多めにかけると同じ現象が起きる。
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ぽってり丸くなったバーニッシュは好きじゃないので、そうならないように筆や塗り方を調整してみる。
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四苦八苦の挙句、なんとかまとめた(と思う)。11ft. #6/7 3P 2TOP 。
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縞々のメノウガイドも悪くない(このサイズは国内じゃ入手困難なのよネ)。
こんなに手こずらされたのは初めてかも・・・・あ、迎え火も送り火も忘れてた!



# by kurirod | 2018-07-18 11:40 | 竿